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交通事故コラム① 経済的全損と代車費用

2026/01/15 コラム 
by HIROAKI-ICHINO 

交通事故で車が損傷し、代車を利用していると、相手方保険会社から「この車は全損です」と説明されることがあります。全損となれば車を買い替えることになりますが、新しい車をすぐに用意できるとは限りません。この場合、代車費用をいつまで請求できるのかが問題となります。

「全損」というと、車が完全に壊れ、修理できない状態を想像する方も多いと思います。しかし、交通事故の損害賠償における「経済的全損」とは、一般に、修理費が事故時の車両時価額と買替諸費用の合計額を上回る場合をいいます。したがって、経済的全損とは、車が物理的に修理できないという意味ではなく、損害賠償との関係で修理費全額が認められるとは限らないということです。

代車費用については、事故によって車を使用できなくなった期間であれば、いつまでも認められるというものではありません。一般には、代車の利用が必要であり、その期間が「相当期間」の範囲内であるかが問題となります。経済的全損の場合には、事故後の損害調査や修理費の見積り、保険会社とのやり取りに加え、買替えを行うために必要となる期間も考慮する必要があります。

その際には、いつから「相当期間」を考えるのかという問題があります。事故日から買替えまでの経過全体を対象として判断する考え方がある一方、事故直後には全損であることが明らかでない場合もあるため、全損が判明した時点を重視する考え方もあります。実際には、どちらかの日から機械的に期間を計算するというよりも、全損がいつ判明したのか、その後、買替えに向けてどのような対応が行われたのかなど、事故後の具体的な経過を踏まえて判断する必要があります。

実務上、買替えの場合の代車使用期間について、おおむね1か月程度が一つの目安として説明されることがありますが、これは一律の基準ではありません。全損が判明するまでに要した期間や、代替車両の選定、購入、納車までに必要となった期間など、具体的な事情によって判断は異なります。したがって、「1か月を過ぎたら代車費用は一切請求できない」ということでも、「納車されるまでの費用はすべて請求できる」ということでもありません。

次回は、相手方保険会社から「全損なので代車費用は打ち切ります」と言われた場合、その後の代車費用をどのように考えるのかについて説明します。

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