交通事故等の被害に遭われた方の逸失利益(事故がなければ得られていたはずの将来の賃金等)の賠償は、これまで一括払い方式が原則とされていました。
一括払い方式は、まとまったお金を一度に受け取れるメリットはあるのですが、定期払い方式に比べて総支給額が大幅に減額されてしまうデメリットがあります。
なぜ総支給額が大幅に減額されてしまうかというと、一括払い方式では将来の法定利息分(年3%)を差し引いて総支給額が計算されるためです。
年3%分の減額は積もり積もれば大きく、ケースによっては数百万円もの違いが出てしまうこともあります。
たしかに、株式や米国債でうまく運用すれば年3%のリターンを得ることも不可能ではなく、人によっては一括払い方式の方がお得です。
ただ、そのような人は少数派かと思います。年3%の利息は、銀行の預金金利と比べればものすごく高い利率です。
積極的に資産運用をしない大多数の方にとっては、一括払い方式は定期払い方式に比べて圧倒的に不利な取扱いになってしまいます。
このような理由から、これまで大多数の被害者の方に不利な一括払い方式しか認めてこなかった裁判所の方針には、大きな批判がありました。
今回、最高裁が逸失利益の定期払い方式を認める判断をしたことで、実務は大きく変わると思われます。