インターネット上で誹謗中傷を受けた場合、投稿者に法的な責任を追求するためには、投稿者を特定する必要があります。
まずはサイト運営者(Facebook、Twitterなど)に投稿者の情報開示を求めます。サイト運営者が持っている情報は、投稿者がどこの通信事業者(ドコモ、KDDIなど)から投稿したかという情報だけです。そこで、通信事業者に改めて投稿者の氏名、住所などの情報開示を求める必要があります。
これまでは、サイト運営者や通信事業者がなかなか開示に応じず、仮処分の申立てや情報開示請求訴訟をしなければならないケースが多くありました。裁判手続を2回やることになるので、どうしても多くの時間、費用かかってしまうことが問題でした。
ニュースでも多く報道されているように、悪質なインターネット上の誹謗中傷が社会的な問題となっています。これまでの仕組みでは、投稿者の特定にあまりに手間がかかり、被害救済にはほど遠い状況でした。今回、プロバイダー責任法が改正され、1回の裁判手続きで投稿者の特定ができることになりました。
個人的には、サイト運営者や通信事業者がなかなか開示に応じないことが一番の問題と思います。訴訟手続の回数が1回で済むようになったとはいえ、決して容易な手続ではありません。とはいえ、一歩前進であることもまた間違いはありません。
実務がどのように変わっていくのか現時点ではまだわかりませんが、弊所でも情報収集に努めていきたいと考えています。