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札幌地裁が奨学金の保証人からの過払金返還請求を認めました

2021/05/14 コラム 
by HIROAKI-ICHINO 

日本学生支援機構の奨学金は、学生本人が返済ができなくなった場合に備えて、多くのケースでは連帯保証人と保証人が設定されています。

連帯保証人と保証人では、法律上大きな違いがあります。連帯保証人は債務全額の支払義務を負いますが、保証人の支払義務は(連帯保証人を含めた)保証人のトータル人数で割った金額が上限となります。例えば、奨学金が300万円、連帯保証人と保証人がそれぞれ1人ずついるケースでは、連帯保証人は最大で300万円の支払義務を負いますが、保証人は最大でも150万円の支払義務しか負いません。これを、民法上の用語で「分別の利益」といいます。

それにもかかわらず、日本学生支援機構が保証人に対して債務全額の請求をするケース(上の例だと保証人は150万円の支払義務しかないのに日本学生支援機構が保証人に300万円全額の請求をするケース)があり、「分別の利益」を知らずに保証人が全額を支払ってしまったケースが社会的問題となっていました。

奨学金というと給付型(返済義務がなくお金がもらえるもの)をイメージする方も多いのではないでしょうか。海外では給付型の奨学金が多いと聞きますが、日本の奨学金は無利子で借りることができればまだ良い方で、中には有利子で20年近くに渡り返済しなければいけないものもあります。日本が国際競争力を維持するためには人材育成、研究への投資が必要不可欠です。まるで貸金業、教育ローンのような日本の奨学金制度には多くの疑問が投げかけられてきました。

今回、札幌地裁は日本学生支援機構の主張を退け、保証人が払いすぎていた分の過払金の返還請求を認めました。今回の札幌地裁の判決は、先日の同性婚違憲判決に続いてまたもや画期的と思います。弊所では、奨学金の過払金のご相談を積極的にお受けします。同じようなケースでお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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